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《システムデザインに関するニュースを毎日発信!》システムデザイン研究所の所長に聞く、システム工学で複雑な課題を解決するヒント

変化が激しく不確実性の高い現代社会において、システム工学は様々な場面で課題解決をする手法として注目されています。 今回は「レヴィの中の人」シリーズ第3回のゲストとして、システムデザイン研究所所長の三浦さんに システムデザイン研究所(SDL)の活動や複雑な社会課題をシステム工学やシステムデザインの力で解決していくことについてお話を伺いました。(聞き手:ナラ@レヴィ)

三浦氏 略歴:東京大学工学部を卒業後、大学院生としてJAXA宇宙科学研究所にてロケット工学の研究に従事。2011年より鳥取大学の教員として分散協調制御やシステム工学の研究とロボット開発などをテーマとしたPBL型工学教育に取り組む。2021年よりJAXA宇宙科学研究所の准教授に着任。レヴィでは共同創業者として経営に携わるとともに、システムデザイン研究所(SDL)の所長として研究開発やフレームワークの構築を牽引している。

システムデザインに関するニュースを毎日発信、紹介したニュースは500回を超える

ナラ:三浦さんはシステムデザイン研究所のWebサイトとTwitterで毎日、システムデザインに関するニュースを紹介されていますよね。この活動はいつから始められたんですか?

三浦さん(以下、三浦):2020年12月から、ほぼ毎日かかさず発信しています。先日、投稿したニュースが500を超えたところです。

厳選したニュースを独自の視点でコメント解説。紹介したシステムデザインに関するニュースは500回を超える。

ナラ:毎日欠かさず500投稿!すごいですね。紹介するニュースはどうやってピックアップしているんですか?

三浦:ソフトウェア開発の情報サイト、論文などのリンク集を独自にもっていて、日々チェックしています。毎日10個くらいの記事を読んで、これは!と思うものを1つ選んで紹介しています。

ナラ:たとえばどんなニュースをとりあげて紹介されているんでしょうか。

三浦:ビジネス系のニュースやアカデミックなテーマまで幅広く取り上げています。

例えば先日取り上げたのは、シリコンバレー流のデータ戦略について。目標をブレイクダウンしてKPIを設定したり課題解決のためにゴールを分解するというやり方も1 つのモデリングの手法で、システム工学の考えかたが役に立つんです。

アカデミックなところだと、「国際関係論におけるシステム思考」についての論文を取りあげました。目の前の現象だけでなく、なぜそれが起こったのかという因果関係を見るためにもシステム思考は使えるんですよ。システム思考を取り入れてウクライナ問題を見ると、新しい見方が増えるかもしれません。

▼▼三浦さんが毎日とりあげているシステムデザインに関するニュースは、システムデザイン研究所のページとTwitterで読むことができます▼▼

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システム工学で社会課題を解決できる人材を増やしたい

ナラ:なぜ「システムデザイン研究所」の活動をはじめることになったんでしょうか?

三浦:「システムデザイン研究所」は、クラウドモデリングツールの開発と提供をしている株式会社レヴィのメンバーが有志ではじめた活動です。レヴィの創業メンバーは大学院生としてJAXAで研究していた時に出会い、アカデミックな指向だったこともあって内輪で調査研究や勉強会をしていたのがはじまりです。

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ナラ:もともとは勉強会という形ではじまったんですね。

三浦:はい。最初は社内だけのクローズドな活動でした。その後、システム工学で社会課題を解決できる人材を増やしていきたいという思いから、システムデザインやシステムズエンジニアリングに興味があるかたに向けて外向けにも活動していくようになりました。

ナラ:研究所のメンバーのみなさんは博士号をもった研究者で大学の研究実績もあったりと、バックグラウンドが厚いですね。

三浦:そうですね、アカデミックな部分はレヴィの強みだと思います。大学と共同プロジェクトを実施したり、ゲームを通じてシステム開発を疑似体験できるボードゲーム(ペジテの自転車)を開発するなど、単なる情報発信だけにとどまらず、様々な活動をしています。

ナラ:「ペジテの自転車」では情報処理学会で賞をとられたんですよね。

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三浦:はい、最優秀賞をいただきました。これはゲームを通してシステム開発を疑似体験できる教材です。システム開発の経験がない新入社員や若手社員にはシステム開発の方法論やマネジメントの理論だけを教えても腑に落ちないことが多いんです。ゲームを通してシステム開発を疑似体験することで、システム開発の失敗しやすいポイントや、システムズエンジニアリングを学ぶ重要性を理解することができるようになります。

ナラ:システム思考やシステムズエンジニアリングは座学で学んでも実践で活用するのが難しいイメージがありますが、ゲームで疑似体験して学べるのはいいですね。

三浦:もともとはリアルのカードを使ったボードゲームですが、最近ではオンラインでのプレイもできるようになりました。「ペジテの自転車」は初心者向けですが、システムデザインやシステム開発についての知識経験はひとぞれぞれ差があるので、教材やセミナーもそれにあわせて用意してます。

ナラ:たとえばどんな教材やセミナーがありますか?

三浦:基本から学べる各種ガイドブックは、初学者から実務経験者まで広く読んでいただいています。すでに実務をされている方にも「体系的にまとめてあって、実務を理論に結びつけて整理がしやすい」とご好評いただいています。

システム思考やシステムズエンジニアリングについて学べるガイドブック

→ 各種ガイドブックのダウンロードはこちらから

三浦:「システムデザインの学校」は、座学+ワークショップ形式のセミナーです。こちらは、ある程度実務経験があるかたにお勧めです。なにか業務で課題があるときに、モデルを使って業務を整理をしてみたい。モデリングをすることで解決に近づけそうだというイメージをすでに持っている。具体的な方法をどうやって学べばいいのか知りたい。そんな方にぴったりの内容ですね。ワークショップではクラウド型モデリングツールのBalusを使って、アプリ開発の企画アイディアをモデルで書いてみるワークをご用意してます。

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ナラ:「なんでもモデリング教室」というのはネーミングはゆるい印象ですが、これは初心者向けですか?

三浦:「なんでもモデリング教室」は世の中の様々な話題を、システムモデルで表現していく動画で、初心者も経験者も、どちらも楽しんでいただけるコンテンツです。システムデザイン初心者のかたには「モデルの描き方」の雰囲気をつかんでいただけますしシステムデザインを身近に感じていただけると思います。すでにモデリングを実践されている経験者のかたにとっては、”システムモデルの使い方の広がり”を発見していただけるかと思います。ビジネスの業務だけにとどまらず、チームビルディングやコミュニティ活動、プライベートでもシステム思考やシステムデザインは力を発揮することができるので。

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ナラ:システムデザイン研究所の活動内容は、幅が広くて深いですね。

システム工学は、どのようにビジネスの課題を解決し、新規事業を成功に導くのか?

ナラ:システム工学は様々な場面で課題解決をする手法として注目されていますが、具体的にはどのような課題を解決することができるのでしょうか?

三浦:たとえば、ある会社の課題として「既存事業の製品、マーケットが今後しぼんでいくことが明らかである」という状況があったとします。そのような場合、蓄積した技術を使って新しい事業をつくっていく必要がありますよね。また、これまでの仕事のやり方にとらわれずに、自分たち自身が価値を提案しながらものをつくる組織をつくっていく必要がある。こういった状態は課題が複雑に絡み合っていて、解決が難しい問題です。

ナラ:新商品開発もしないとだし、組織の問題や、取引先との関係もありそうだし・・複雑で、想像しただけでお手上げ状態です。

三浦:そういった複雑な課題に取り組むときに、システム工学の手法が役に立つんです。詳しくは「システミングガイドブック」の中で紹介していますが、システム思考とは、モノゴトをシステムとして捉えることで複雑な状況や問題を理解するという考え方です。複雑なシステムの全体をそのまま考えたり理解したりすることは困難ですが、モデルを使って状況を整理することで、チームメンバー同士や顧客と開発者の間でシステムに対する認識を合わせることが可能になります。

モデルの例

ナラ:システム工学って具体的なものづくりの手法というイメージが強かったんですが、製品開発だけでなく、ステークホルダーの分析から組織開発まで幅広く課題解決のヒントをみつけられるものなんですね。

三浦:はい、事例集をみていただくとわかりやすいと思いますが、新規サービス開発、働き方改革の一環としての工数削減、業務改革/DXまで様々な課題解決をお手伝いしています。

▼▼システム工学の手法を用いた課題解決の事例について詳しくはこちら▼▼

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世の中の複雑さから逃げない、立ち向かうための武器としてのシステムデザイン

ナラ:最後に、今後のシステムデザイン研究所の活動や目標についてお聞かせください。

三浦:レヴィは、「複雑さの中に価値を、面白さをみつけよう」というスローガンを掲げて活動しています。世の中はどんどん複雑になり課題も複雑になっている。そういった複雑な状況のなかで価値あるものをつくっていくために何ができるのか?複雑なものを解決したりおもしろいものがどんどん増えていったりしていく社会にしていきたいと思っています。

そのために、システムデザインの力が必要です。世の中の複雑さから逃げない、立ち向かうための武器として「システムデザイン」が必要だと考えます。システムデザインという武器をもち、複雑な課題に立ち向かい、面白いものをどんどんつくっていける人をもっと増やしていきたい。

システムデザイン研究所は、その目標のためにたくさんの役割を担っています。より良いサービス、よいプロダクトを生み出すための研究所としての役割はもちろんのこと、社内外でシステムデザインの文化をつくっていく役割も重用です。学術的なバックグラウンドをもって活動しているところが他の会社にはないレヴィの強みなので、これを活かして今後も研究活動と発信を続けていきたいと思います。

ナラ:お話ありがとうございました。今後の活動も楽しみにしています!

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