2019年2月にアメリカ・カリフォルニア州マウンテンビューで開催された Small Sat Symposium 2019 に、南部、三浦*1、弓山で参加してきました。
レヴィは日本の宇宙システム活用人材の育成にも携わっており*2、今回は 米国の宇宙ベンチャーの最新情報を調査することを目的として参加しました。
宇宙研出身のスタートアップとして OPUSAT*3 をはじめ、日本における超小型衛星開発やアントレプレナーシップ教育にも協力させていただきたいので、今回のカンファレンスで得た知見もぜひフィードバックしたいと思います。
Small Sat Symposium 2019 とは
毎年8月にユタ州立大学で開催されるSmall Satellite Conferenceは、小型衛星業界では言わずとしれた有名な会議です。 Small Satellite Conferenceでは、技術やミッションの話題が中心です。 主催がAIAAということもあり、あくまで学術系の学会の雰囲気です。
一方で、今回参加したSmall Sat Symposiumでは、小型衛星関連のビジネスの話題が中心です。 参加者も、3割が企業の経営層となっています。 主催は、SatNew Publishersという民間企業です。 今回で4回目の開催ですが、参加者は年々増加しているそうです。
ほとんどのプログラムがパネルディスカッションという、学術分野にいた人間からすると珍しい形式の会議です。 slidoというWEBサービスを使って、投票や質問を会場から集めて、議論していきます。 予定調和ではないため、かなり突っ込んだ答えにくい質問が出ており、臨場感を楽しめました。 また、質問内容の偏りから、業界が関心事が何かもよく分かります。 ディスカッションの会話の中で、MRR*4やARR*5と行ったSaaSでお馴染みのメトリクスが飛び交っていたことにも特徴を感じました。
Small Satellite Conferenceと同様、多くの企業スポンサーがついており、朝食や軽食が振る舞われます。
初日の朝、朝食を食べていると同じテーブルに座っていた方から声をかけられました。 聞けば、VCで、今回のシンポジウムのスポンサーである企業にも投資しているとか。 そんな感じで、いつかビジネスにつながるかもしれない、ラフなつながりが増えていく場が用意されていました。
シンポジウムからの学び
今回のシンポジウムを代表するキーワードは、”Sound Business Model”だったと思います。直訳すると「手堅いビジネスモデル」です。 ここ数年で、超小型衛星ビジネスは、多額のリスクマネーが投入されました。 一方で、その投資に見合うだけの利益を生み出す方法は、未だ見つかっていないというのが実情です。 過剰な投資に対して十分な利益が出ない時、苦しむのは投資を受けた会社で働く人たちです。 そのため、過剰と思われる投資を行なっているVCに対する風当たりは非常に強いものを感じました。
今回得た学びをざっくりまとめると、下記のようになります。
- 小型衛星の分野は、過剰投資が問題となっており、全体として熱狂に対する反省の色が伺えた。
- 一方で、技術の進歩は目覚しいものがあり、ビジネスとしての成功は期待値よりも小さいが、広い意味での小型衛星のCapability (将来性)は向上している。
- 地球観測については、特に、投資を回収するだけの利益があるのかが議論の焦点になっていた。技術トレンドとしては、SARやハイパースペクトルセンサーの小型化に伴う、レイテンシーの削減が際立っていた。
- ブロードバンド通信については、可能性は感じらている一方、競合が多いことに対する懸念が挙げられていた。
- 小型衛星市場のボトルネックでもあり、イノベーションの源泉とも考えらえているのは、小型衛星用の格安ランチャーである。
- 地球観測や通信の次に来る分野としては、IoTやSpace Situational Awareness が挙げられていた。後者については、ビジネスを超えた大きな枠組みが今後発展していくと期待されている。
- 軍の存在感は大きく、“View the DoD as an Early Adaptive or Fast Follower”という立場で、プロトタイピングによってPoCを得た後のベンチャー企業を支えている。
これから宇宙ベンチャーを盛り上げていこうという日本とは、ギャップがある印象です。 一方で、ソフトバンクビジョンファンドや日本政府の取り組みに対する言及もあり、日本の動向は注目を集めています。
世界が未だ真の成功を見い出せていない中、日本の宇宙ベンチャーが駆け抜けていく姿を夢想しておりました。
シリコンバレーの様子
シェアサイクル
シェアサイクルを提供する Lime (https://www.li.me/) はカリフォルニアの多くの都市で利用可能です。サンフランシスコ市内では利用できませんが、今回のシンポジウムが開催された Mountain View City の市内ではダウンタウンの一部を除いて利用することができます。
1回の乗車につき $1 のチャージと、1分ごとに $0.15 が課金されるシステムで、やや割高のようにも感じますが、電動アシスト機能付きの自転車であることを考えると、リーズナブルではないでしょうか。数ブロック先までUberをお願いするのに躊躇するような距離を移動するのに非常に便利でした。
Apple Park
Apple Park は、12,000人が働くことができるAppleの新社屋です。新社屋に隣接して、Visitor Center も整備されており、Apple Park限定のギフトグッズを購入できるほか、Apple ParkジオラマのAR体験展示も見どころの1つです。
スマートハウス
HOMMA Inc. のスマートハウスにも、お邪魔させて頂きました。
話を聞くと体験するとでは大違いです。 スマートスピーカーによる照明や音楽の制御、スマート家電での調理など、個々の機能はよく知るもの(家にもオフィスにもあるもの)でしたが、家全体がコネクティッドになっているのと、一部だけがそうなっているのでは、ユーザー体験は大きく異なります。 新しい家との関わり方を発見できました。 HOMMA Inc.は、まさに「ユーザーエクスペリエンスをデザインして実現する家を作る会社」でした。 本間さん、ありがとうございました!
テスラの自動運転
テスラの自動運転を体験する機会もありました。
自動運転で走行できるのは、高速道路です。 街中では走行は、試験以外では認められていません。 私達は、101を走行しました。 道なりに進む際には、ハンドルに手を置いておくだけで、進路と速度、車間距離を適切に保ってくれます。 ウィンカー出せば車線変更をしてくれます。(スタンダート、アグレッシブ、マッドマックスというモードを選べます。) ナビを設定しておくと、分岐も自動で判別してくれます。 考えていたよりもずっと快適で、優れたユーザーエクスペリエンスを提供してくれるシステムでした。
宿泊
コンピュータ歴史博物館へ自転車で行ける距離の一軒家をAirbnbで借りました。3ベッドルームで暖炉付きという贅沢な家でした。
数年前は、ホテルに無理やり3人で泊まっていたりしましたが、ずいぶん快適に過ごせるようになったものです。 先日のブログでもご紹介したシステム思考が学べるカードゲーム「ペジテの自転車」の完成間近のタイミングでのサンフランシスコ滞在だったので、滞在中に3人で何度かテストプレイを行いながらゲームバランスの調整に励みました。 blog.levii.co.jp
食事
現地の食材を使った料理も作りました。 ハリバットは5枚おろしにして、煮付けにしました。 ご飯も炊いて、相性バッチリです。
旬のダンジネスクラブは、即席の蒸し器で15分ほど蒸し、一晩冷蔵庫で寝かせ、食べる直前に熱々のネギごま油をかけて、大変美味しゅうございました。
サンフランシスコと言えば、アサリ! アサリは酒蒸し風に調理した後、塩昆布で味付けをしたフィットチーネにぶっかけて、和風ボンゴレに。
地元のレストランに行くのも楽しいですが、自分たちで地元の食材を調理する方がワクワクしますよね!
最後に、シリコンバレーでお世話になったお食事処をご紹介。
San FranciscoのMission Bayにある屋台トラックのフードコートSPARKでは、味噌ラーメンを頂きました。
Apple Parkから徒歩10分程度にある俺んちでは、日本にいるかのような雰囲気の中で、とんこつラーメンを食べることができます。
Mountain ViewのダウンタウンにあるShabuwayでは、なんとしゃぶしゃぶを食べることができます。
和食だけでなく、アメリカらしいハンバーガーSuper Duperも食べましたよ。
そして、旅の締めくくりに、思い出に残るディストピア飯を頂きました。