鳥は夜盲であり羅針盤をもってゐないとすると、暗い谷間を飛行するのは非常に危険である。
寺田寅彦「疑問と空想」
こんにちは、システムデザイン研究所(SDL)の三浦です。
システムデザイン研究所では、レヴィのサービスのベースとなっているシステム工学をはじめ、システム思考、システムモデリング、システムズアプローチなどについて議論や整理を重ねています。
レヴィブログで開始する新コーナー「羅針盤」は、SDLの活動の中で得てきた気づきや学び、具体例、研究員の想いなどを発信するコラムです。SDLのメンバーが持ち回りで記事を書いていきます。
初回である今回は、"羅針盤"というタイトルに込めた想いを紹介したいと思います。
羅針盤
羅針盤はご存知の通り、方位を知るための装置のことです。世界史の教科書では火薬、活版印刷と並んで人類の三大発明として登場します。
広大な海において進めべき道を示してくれる羅針盤は、人類の活動範囲を大きく広げるのに欠かせないものだったので、歴史的にも重要視されているのですね。
私達はシステム工学やシステム思考が、複雑な現代社会において進めべき道を示し、人類社会の活動を良い方向に大きく変化させる羅針盤のようなものになり得ると考えています。そこで、システム工学やシステム思考について考えていくこのコラムを「羅針盤」と名付けました。
複雑さ
上記で「複雑な現代社会」という言葉を出しましたが、そもそも複雑さとは何でしょうか?
詳しくは羅針盤の別の回で書きたいと思いますが、根本的なところを簡単に言葉にすると次のようになります。
個々の要素の性質や振る舞いが分かっていても、多数の要素が互いに影響を及ぼし合うと、全体としての性質や振る舞いを理解したり予測したりするのが難しくなる。
現代社会では様々な領域、様々な階層においてこのような場面があり、理解や予測が難しい問題がたくさん生じています。そのような状況を指して我々は「複雑だ」と言います。
複雑な問題に立ち向かう状況は「目印のない大海原」や「暗い谷間」とよく似ています。自分がどこに居て、どちらに進めばよいのか分からなくなってしまうのです。
そんなときに進めべき道を示してくれる羅針盤が、システム工学やシステム思考です。
現代社会の羅針盤を考える
社会や技術がますます複雑さを増す中、システム工学やシステム思考の重要性が高まっていくと私達は考えています。
今回はその具体的な内容まで触れることはできませんでしたが、今後のこのコラムの中で整理していきたいと思います。
複雑な現代社会において進むべき道を示すための羅針盤について、読者の皆様と一緒に考えていくことができれば幸いです。