こんにちは、レヴィの五十嵐です。
東京も徐々に自粛解除ムードになってきていますが、弊社はお客様との打ち合わせはまだまだオンラインが中心となっています。 そんな中、パートナー企業である Quadcept 株式会社 様と共同で企画した回路設計向けのセミナーも、今回はオンラインでの開催となりました。 今日は、このオンラインセミナーの準備を通して、レヴィでのセミナー設計の一例をご紹介したいと思います。
準備に必要な項目を洗い出す
今回、レヴィらしくシステムデザインを用いてセミナーの設計をしていきました。 まず、セミナーを1つのシステムとして捉え、ビューモデルを使って準備に何が必要かを洗い出していきました。
ビューモデルでは、システムの外と内、そして外と内をつなぐ間という3つの領域に分けて必要な要素・項目を考えていきます。 今回は、
- システムの外としては、セミナーを取り巻く環境や関係者の各要求・制約などのコンテキスト、
- システムの内としては、セミナー内容や発表スライド、そして運用方法、
- 内と外をつなぐ間には、周知・案内方法や参加申し込み方法
といった項目を置きました。
その上で、「どの項目」が「どのくらいの時期」に「どういった状態(準備開始しているのか、完了しているのかなど)」になっているのかといったマイルストーンを設定していきました。
このように、ビューモデルとマイルストーンを設定することで、用意すべき項目が抜け漏れなく、どの優先度で準備しなければいけないかということがチームの中で認識が揃います。
関係者の要求や制約を明らかにする
次に、システムの外の項目の1つとして、コンテキストモデルを使って、システムを取り巻く環境や関係者の要求・制約などを明らかにしていきます。 今回はセミナーなので、「講師」や「参加者」、「開催場所」などについての関係性や制約を明らかにしていきました。
コンテキストモデルを眺めながら、チームで議論していくと
- コロナ禍中での開催ということで、開催場所はオンライン
- 通常の対面式セミナーに比べて双方向のコミュニケーションが難しそう
- 参加者は移動時間が必要ないが、業務の合間での参加なので短い時間でエッセンスを知りたいだろう
などの制約や要求も出てきました。 さらに、参加者はセミナーの後、どういう状態になっていたいか(セミナーで何を得たいか)を明確にするために、参加予定の顧客の業務フローを作成し課題の理解を深めました。
このように、コンテキストモデルを使ってシステムを取り巻く環境や関係者の要求・制約を明らかにし、実装や運用方法との整合性を取ることで、認識齟齬が起きにくくなります。 今回のようなセミナーの場合だと、参加者に的外れなセミナーの内容を提供してしまうことや、開催当日になって(想定できたはずの)問題が発覚してしまうことなどのリスクを低減することができます。
セミナー内容・運用方法を用意する
ここまで準備ができたら、具体的なセミナーのコンテンツ設計(スライド作成)や運用手順作成に入っていきます。 作成したコンテキストモデルを見ながら、
- 参加者に持ち帰ってもらいたいもの(セミナーで伝えたいもの)をちゃんとコンテンツに盛り込めているか
- オンライン環境でも支障なく質疑応答などができる手順になっているか
などの観点でコンテンツや運用手順を順調に用意していきました。
一般的にはコンテキストモデルなどは用意せず、いきなりコンテンツ設計から入ることもあると思います。 しかし、今回のようにコンテキストモデルと整合性を保ちながら進めると、的を外さないようにしながら準備ができ、手戻りを少なくできると感じました。
セミナーの実施
今までで 3 回ほどオンラインセミナーを開催しましたが、当日の進行も大きな混乱なく、内容についてもお陰様でご好評いただいています。 また、Quadcept 株式会社様のご尽力もあり、コンテキスト図で共同開催者としての役割の分担を明確にできたことで、スムーズな進行やフォローアップが出来きました。
まとめ
今回、システムデザインを用いてオンラインセミナーの準備をしましたが、参加者に満足していただけるセミナーを手戻り少なく用意することができました。 セミナーの設計の際には、ご参考にされてみてはいかがでしょうか。
また、今回はシステムデザインをセミナーの設計に適用してみましたが、回路設計や社会システムなどシステムデザインに適用できる範囲は幅広いとレヴィでは考えています。 システムデザインを扱った研修やワークショップなどもご用意しておりますので、ご関心がある方は以下のページからアクセスください。 https://levii.co.jp/contact/